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「アイ・エイ・アイ」:IAI

東京都現代美術館
東京都現代美術館
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園)


「屋上庭園:Roof Gardens」展
― 庭は、自然とひととの様々な関わり方を示すもの ―

会期:2008 4/29(火・祝)〜7/6(日)展覧会は終了しました。
会場:企画展示室3F
休館日:月曜日 ただし 5月5日(月・祝)は開館
開館時間:10:00〜18:00 (入場は閉館の30分前まで
主催:財団法人東京都歴史文化財団・東京都現代美術館

本展では、自然光の差し込む3階展示室を屋上庭園と捉え、庭をめぐる近現代の作品を紹介します。記憶の中で理想化された楽園、切り取られた記録された自然、秩序から開放された遊戯的な空間など、芸術家の想像力が生み出した世界は実に多彩です。それぞれの作家の「大地から切り離された自然」へのアプローチを、10のセクションに分け、その意味を明らかにします。
「隠れたモダンのコレクション」
東京都現代美術館は、1926年に上野公園に開館した東京府美術館(後に東京都美術館に改称)が収集した美術作品のコレクションと図書資料を受け継いでいます。それゆえ収蔵作品の制作年代は、一世紀以上の広がりをもちますが、戦後美術の紹介を核とするため公開の機会の少ない貴重な作品群があります。
本展では、大正期の細密描写を代表する河野通勢による素描、植物の繁茂する夏の庭を描き続けた牧野虎雄の油彩コレクション、昭和前期のシュルレアリスムの作品、近代版画の揺籃期に詩想をはこぶメディアとしても重要な役割を果たした創作版画誌のコレクション(美術図書室蔵)、そして膨大な日本の銅版画群の中核を成す中林忠良による腐食銅版画など、当該主題をめぐる作品をまとまったかたちでご紹介します。

「今日の視点で「庭園」を捉える」
更にニコラ・ビュフのグロテスク文様のウォール・ドローイングやブノワ・プロワザの映像、須田悦弘の木彫の花や、内海聖史の油彩など、近年の庭をめぐる作品を通して、モダンからコンテンポラリーまでを包含する美術館ならではの、本主題を歴史的に展望する機会となるでしょう。
会期中、出品作家や版画誌研究者による、展示作品を前にしてのレクチャーなど、関連プログラムを通して、「美術館の庭」を散策、堪能いただけることと思います。

「屋上庭園:Roof Gardens」展―その中から5作品を紹介します。
ニコラ・ビュフ《グロテスクの庭》
ニコラ・ビュフ
《グロテスク》
2005
白チョーク/黒板 作家蔵
グロテスクの庭
ルネサンスのひとびとが古代ローマの時代に描かれた壁画の中に発見し、その後流行したグロテスク模様(発見の場所がグロッタ<洞窟>であったというエピソートに基づく)。その、植物と動物そして怪物が現実のスケールや関係を無視して織りなす遊戯的世界に魅せられたニコラ・ビュフ(1978-)は、神話の中の「黄金時代」の楽園を主題に、現代生活で流通するイメージを取り入れたグロテスク模様のドローイングを展示室の壁に展開します。

牧野虎雄《芥 子》
牧野虎雄
芥 子》
c.1925
油彩/カンヴァス 東京都現代美術館蔵
アトリエの庭
牧野虎雄(1890-1946)は20歳代から官展で高い評価を得た画家ですが、1920年代に手がけた一連の作品は、繁茂する植物群でカンヴァスを覆い尽くす、極めて個性的な表現で異色の存在です。独居の自邸や知人宅の夏の庭で、地面が見えぬほど花や木々が生い茂る様を描いた作品は、木村荘八らの尽力で設立された都立駒場高校の記念館に納まり、その後70点余りの油彩画が都美術館に移管されました。木場の現代美術館では、牧野の世界をまとまったかたちで展示する初めての機会となります。

寺田政明《夜の花》
寺田政明
《夜の花》
1942
油彩/カンヴァス 東京都現代美術館蔵
夜の庭
1920年代半ばにフランスで始まったシュルレアリスムの芸術表現は、日本の美術界で1930年代にひとつの流れをうみますが、1940年代に入ると、現実社会を否定的に捉える表現と見なされ、その精神を受け継ぐ絵画を公的な場で発表することは難しくなりました。
寺田政明(1912-1989)はシュルレアリスム的な表現を核とする靉光らと同じグループで活動していました。1942年に制作された《夜の花》は暗闇の中で咲く異様なかたちの植物を浮かび上がらせたものですが、その公開は戦後十年余を経た読売アンデパンダン展までまつことになったのでした。

ブノワ・ブロワザ《Bonneville》
ブノワ・ブロワザ
《Bonneville》
2005
DVD 作家蔵
記憶の中の庭
近年、デッサンを用いた映像表現は様々な試みが見られますが、ブノワ・ブロワザ(1980-)の場合は、デッサンを切り抜いた紙の模型と、平面のデッサンとを組み合わせ構成した映像を制作しています。《Bonneville》は故郷の町の名前。グルノーブルの美術大学を出たあと、パリで生活を始めてから、記憶の中の細部の表現を連ねて、雪の降り積もる故郷をまるで我が家の庭のように紬ぎ出した映像作品です。

内海聖史《三千世界》
内海聖史
《三千世界》
2006
油彩/綿布 作家蔵 photo 長塚秀人 ©Röntgenwerke AG, Satoshi Uchiumi
天空にひろがる庭
既存の流通するイメージのちからに頼ることなく、絵画の可能性を追求している内海聖史(1977-)。無数の小型カンバスに載る多彩な絵の具がどこまでも拡がる三千世界を想起させるところで、屋上庭園の散策は終わります。
関連プログラム
フロア・レクチャー 各日15時. いずれも参加料無料(ただし展覧会チケットが必要です)

中林中良氏(出品作家) 5月24日(土)
ニコラ・ビュフ氏(出品作家) 6月14日(土)
加治幸子氏(版画誌研究者) 6月28日(土)

学芸員によるギャラリー・トーク 各日15.。 いずれも参加料無料(ただし展覧会チケットが必要です)
5月4日(日)、5月18日(日)、6月1日(日)、6月22日(日)

中・小・高校の先生のための特別プログラム 5月9日(金) 16時.
同時開催「大岩オスカール」展との共同プログラムになります。


同時開催
・大岩オスカール 夢みる世界 企画展示室1F 4月29日.7月6日
・MOTコレクション 常設展示室 4月22日.6月29日


東京都現代美術館
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
お問合せ先 Tel: 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
/03-5245-4111(代表)
展覧会公式HP:http://www.mot-art-museum.jp/

参考資料:「屋上庭園展」Press Release・東京都現代美術館
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